TBSテレビは22日、Arc Timesの取材に対し、同社の植田博樹プロデューサーが、当時のジャニーズ事務所(現・SMILE-UP. )を退所した有名タレントを中傷するSNS投稿を行っていたことをめぐり、「一連の投稿については、遺憾に思います」と回答した。ただ、「本人には、厳重注意を行い、騒動を起こしたことについて、本人も反省しております」とし、形式的な「注意」をしただけだった。誹謗中傷が社会問題となるなか、TBSの幹部プロデューサーが実質的に公に中傷投稿を行っていた。TBSがそれを長く放置しただけなく、最低限の甘い対応で済ませていることは、報道機関や放送局としての信頼を大きく失墜させるものだ。植田氏はX(旧ツイッター)を再開しており、TBSは誹謗中傷をおこなってきた同氏のアカウントを容認している形だ。
尾形聡彦 Arc Times 編集長 / Toshihiko Ogata, Editor-in-Chief, Arc Times
Published at 22:10 on 2023/11/30 JST, Updated at 10:30 am on 2023/12/1
植田氏は、ドラマ「ビューティフルライフ」などを手がけた同テレビのプロデューサー。植田氏は、元King&Princeの岸優太さんが10月中旬にTOBEに合流したことを発表した際、「人って、道を踏み外すと顔つき変わる。元仲間が困っている時に、背中から斬りつける真似は、僕は好きじゃない」などと、岸さんを中傷する投稿をX(旧ツイッター)に行っていた。植田氏はこの投稿については削除したとみられる一方、少なくとも数百人の性被害者を出している旧ジャニーズ事務所のタレントの新規起用を停止しているNHKについて「恫喝」「解体的な出直しを」などと攻撃する投稿は残したまま、12月1日現在で、Xへの投稿を続けている。
植田氏のXのアカウント(@ue_pinc) は、「UeP」との表記になっていたが、植田氏はこのアカウント内で、自身がインタビューを受けた際の記事へのリンクを貼るなどし、「TBSプロデューサーの植田博樹」であることを自ら明らかにしていた。アカウント内には、自らがTBSの同僚や幹部らと一緒に撮った写真も掲載している。
職業を自由に選択したり、転職したりすることは、日本国憲法22条で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められた憲法上の権利だ。岸さんらがジャニーズ事務所を辞めて、新事務所に合流することは、個人としての選択であり、非難される理由は全くない。ところが、植田氏は、岸田氏らの行動について「道を踏み外す」ものだと断じ、「顔つきが変わる」と中傷。事務所の移籍について、「背中から斬りつける真似」と暴力的な表現まで使っていた。これらは、侮辱罪や名誉毀損に当たる可能性があり、TBSのプロデューサーによる著名タレントへの偽計業務妨害のおそれもある。
TBSは26日、ジャニーズ問題の検証番組を放送して報告書を発表したが、その中では植田氏の中傷投稿については触れなかった。
誹謗中傷をめぐっては、元ジャニーズJr. の40代の男性が10月に悩みを深めて自死していたことが、11月に明らかになっている。2020年にはフジテレビの番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが自殺し、大きな社会問題になった。TBSは18日の「報道特集」で、SNS上の誹謗中傷問題を取り上げ、10月に自死した40代の男性についても詳しく報じたばかりだった。
植田氏のツイートは名誉毀損などに当たるおそれがあるだけでなく、同氏はTBSの幹部プロデューサーとしてタレントの起用に大きな権限を持っているだけに、この投稿自体がタレントへの「脅し」の色彩が強い。同氏の投稿を放置してきたTBSにも重い責任があり、視聴者や市民の信頼を裏切る行為だ。放送法第1条に規定されている「公共の福祉」に反する姿勢といえる。
Arc Timesは22日、TBSに対して、植田氏の投稿への見解や、TBSとしての責任をどう考えるかを質問した。
これに対して、TBSは同日、植田氏について、「一連の投稿については、遺憾に思います」と回答。「本人には、厳重注意を行い、騒動を起こしたことについて、本人も反省しています」としただけだった。
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