ジャニーズ事務所、今週末にも発表で調整/藤島ジュリー景子社長の出席が焦点/黙殺の大手メディア、どうする?
尾形聡彦 Arc Times 編集長/Toshihiko Ogata, Editor-in-Chief, Arc Times
Published 22:58 on 2023/5/11 JST
元ジャニーズJr. のカウアン・オカモトさんによる、ジャニー喜多川氏の性暴力の告発などを受けて対応策を検討しているジャニーズ事務所が、今週末にも対応策を発表する方向で調整に入っていることがわかった。複数の関係者がArc Timesの取材に明らかにした。発表では、藤島ジュリー社長本人がどの程度、前面に出てくるかどうかが焦点だ。ジャニー喜多川氏の性暴力をめぐっては、週刊文春が長年キャンペーン報道を続けており、英公共放送BBCが3月にドキュメンタリー番組を放映してからは、Arc Timesなどのネットメディアも積極的に報道している。一方で、テレビや大手新聞の大半は最低限しか報じずに、ほぼ黙殺する状態が続いている。ジャニーズ事務所の対応が急速に前に進むなかで、大手メディアの対応は異常と言え、報道機関としての責務をほぼ放棄している状態だ。ジャニーズ事務所の発表を受けても多くの大手メディアは黙殺を続けるのか、それとも突然姿勢を変えて報じ始めるのか、姿勢を転換する場合にこれまで黙殺してきた自らの責任をどう説明するのかも今後大きく問われることになる。
複数の関係者によると、ジャーニーズ事務所は、性被害について、外部に相談窓口を設ける方向で調整しており、所属タレントや既に退所したタレントらを幅広くケアする体制を整える方針だ。こうした対応策を、早ければ今週末にも発表する方向で、現在細部の詰めを急いでいるという。性被害を訴えたカウアン・オカモトさんにも、寄り添う姿勢を示す方向で検討が進んでいる。カウアンさんは4月20日のArc Timesでのインタビューで、ジャニーズ事務所側に対し、自分で問題に向き合って欲しいと訴え、訴訟などの敵対的な手法はできるだけ避けたい考えを示していた。
カウアンさんからのこうした訴えを受け、ジャニーズ事務所は4月24日、音楽関係事務所やテレビ局などに対して声明を出し、問題に真摯に向き合う姿勢を示していた。この声明はArc Timesが24日午後7時すぎに報じて明らかになり、東京新聞や朝日新聞、TBS、NHKなどがその後報道した。この声明の中で、同事務所は、外部窓口の設置などを行う方針を示しており、近く行われる見通しの発表は、この声明に沿った方向になりそうだ。カウアン・オカモトさんは最近、藤島ジュリー景子社長に直接面会したことを、たかまつななチャンネルで明らかにしており、両者の話し合いも進んでいる。
今週末にも予定されているジャニーズ事務所の発表では、同事務所がどのような形で対応策を打ち出すかが焦点だ。特に藤島社長が、どの程度前面に出るかについて、依然として結論が出ていない模様だ。関係者の間では、藤島社長自身が会見に出席する案から、会見の際に藤島社長はビデオで登場するだけの案、発表文を出すだけの案まで、複数の選択肢が検討されているという。
ただ、ジャニーズ事務所はオーナー企業で、藤島社長以外に、実権を握っている人物はいない。事務所が真剣に問題に向き合っている姿勢を示すには、藤島社長本人が記者会見に出席して正面から語るよりほかなく、どのような発表方法を選ぶかが、ジャニーズ事務所と藤島社長の本気度をはかるうえでの試金石となりそうだ。
同時に注目されるのは、テレビや新聞の対応だ。ジャニーズ事務所内でこの問題に向き合う検討が進む一方で、大手メディアはこれまで、最低限の報道にとどめ、実質的な黙殺を続けてきた。ただ、11日になって、朝日新聞とTBSが、カウアンさんのインタビューを相次いで報じ、一部の大手メディアは方針を転換し始めている。ジャニーズ事務所が、対応策の発表に向けて水面下で動き出したことで、一部大手の対応に変化が出ている可能性もある。その一方で、テレビ朝日やフジテレビ、日本テレビなどの対応は依然として鈍く、黙殺を続ける状態が継続している。
ジャニーズ事務所の発表の手法に加え、大手メディアの報道姿勢も今後、大きく問われることになる。
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